日本語教育機関を、レッスン形態(オフラインorオンライン)と受講者数の二軸で分けて、4つのマトリックスに分類してみました。

*正確に言うと、オフライン・オンラインともにグループレッスンがありますが、ここでは説明をシンプルにするために割愛します。

右上から時計回りにABCDとした場合、それぞれに該当する主な教育機関は以下のようになります。

A:通常の日本語学校
B:オンライン学校のクラスレッスン
C:オンライン学校のマンツーマンレッスン
D:教師派遣

それぞれの一般的な特徴は以下の通りです。

A
カリキュラムとスケジュールが決まっている。
留学生向け、授業のスケジュールは平日の日中という学校が多い。
少人数クラスで夜に授業をしている学校も幾つかある。
コロナの影響で対面レッスンが出来ずBに変更している学校も多い。
授業料はこの4つの中では二番目に安いが、長期コースが通常。

B
以前はほとんど無かったが、コロナの影響で増えた。
カリキュラムとスケジュールが決まっている。
世界中から受講可能。
夜に授業をしている学校もある。
授業料はこの4つの中では一番安い。

C
自分でカリキュラムやスケジュールを選べる。
世界中から受講可能。
夜に授業をしている学校もある。
授業料はBよりは高いが、Dより安い。
ビジネスパーソン向けのレッスンに慣れている教師が多い。

D
自分でカリキュラムやスケジュールを選べる。
授業料はこの4つの中では一番高い。
ビジネスパーソン向けのレッスンに慣れている教師が多い。
ただし、大都市以外の場合、日本語教師がいない可能性もある。

授業料単価は生徒数に反比例するので、生徒数が多いクラスレッスンが安く、生徒数が少ないマンツーマンが高くなる。

以上の特徴を踏まえ、自分に合ったものを選ぶと良いでしょう。

有資格者の場合、1レッスン(1時間)につき2,000~8,000円が相場のようです。
ビジネスパーソンに教えられる実力がある教師は3,500円以上が多いです。

優秀な講師ほどFEEは高いかも知れませんが、あなたの日本語学習を成功させる確率が高いでしょうから、コストパフォーマンスは良いと言えるかも知れません。実際に、私の知り合いに、一時間8,000円の人がいます。単価は他の先生より高いですが、リピーターが続出していて、スケジュールに空きがない状態です。

日本語学習のトータルコストを抑えたい場合は、自習で出来ることは自習で済ませて、講師とのレッスンは、講師が居ないと出来ない練習にフォーカスするのがオススメです。

もし自分で負担するのが難しい場合、会社が研修費用として支払ってくれるかも知れませんので、一度会社の人に確認してみるのもオススメです。特に日本人社員のために英語研修の費用を負担している会社では、外国人社員のために日本語研修の費用を出してくれる可能性があるでしょう。

対面レッスンであれば、こちらのサイトは、登録教師は全員有資格者のようです。
https://senseishokai.com/nihongo/index.html

しかし、オンラインレッスンについては、自信をもってオススメ出来る紹介サイトはありません。そのように考えるのにはいくつかの理由があります。

理由1:紹介サイトに登録している教師の多くは無資格者。
英語教師の資格に、TEFL、TESL、TESOL、CELTA、DELTA等があるように、日本語教師にも資格があります。

日本語教師の有資格者とは、次のいずれかに該当する人を言います。
(1)「日本語教育能力検定試験」に合格する
(2)学士の学位をもち、文化庁認定の「日本語教師養成講座(420時間)」を修了する
(3)大学または大学院で日本語教育に関する主専攻プログラムか副専攻プログラムのいずれかを修了する

しかし、日本語教師の資格の有無を問わない紹介サイトも数多く存在します。単に会話相手になって貰うだけなら良いかも知れませんが、レッスンを受けるのであれば、少なくても有資格者を選ぶことをオススメします。日本語教授法を体系的に学んだ経験があるかどうかの差は大きいです。

理由2:資格を持っているだけでは十分ではない。
「良い日本語教師とはどんな先生ですか?」でも書いたように、私は、学習効果の高いレッスンと、あなたの目標達成のために必要なノウハウとアドバイスを提供してくれる人が良い先生だと考えています。特にビジネスパーソンへのレッスンでは、タイムパフォーマンスが重要です。このため、資格を持っているだけでは十分ではありません。実際に、私は日本語教師の面接を1000人以上してきましたが、資格を持っていても指導スキルが低い人はたくさんいます。

ただし、これらは私の個人的見解です。私とあなたとで、教師に求める機能が異なる場合、紹介サイトでも、良い先生に出会える可能性はあるでしょう。また、良い先生かどうかを見極められるように、これらの記事が参考になれば幸いです。

別の記事に書いたように、良い先生かどうかの定義は人によって異なるので一概には言えませんが、教師の日本語指導経験、教材選定力、向上心、の3つを見極められる魔法のような質問があります。

それは、「あなたが使用できるテキスト名をすべて教えて下さい」です。

長年の経験があっても、少しの教科書しか使わない先生には要注意です。マンツーマンレッスンでは、生徒のニーズに合わせてレッスンをカスタマイズすることが必要です。ですから、マンツーマンレッスンの経験が長い講師であれば、様々な生徒のニーズに対応するために、様々なテキストを使いこなすことができるはずです。

日本語教師の中には、マンツーマンレッスンの経験が無く、クラスレッスンだけをしてきた人もたくさんいます。そういう人は、勤務している学校が指定しているテキストだけを繰り返し使っている可能性があります。そのテキストについてはとても上手に教えることが出来るかも知れませんが、経験は限られると言えます。

もし、経験が少ない先生でも、あなたのためにテキストを調べてみます、と言ってくれる先生はきっといい先生です。

この質問は、「良い上司とはどんな上司か?」という問いに似ています。なぜなら、良い先生の定義は人によって異なるからです。

私の考えでは、学習効果の高いレッスンと、あなたの目標達成のために必要なノウハウとアドバイスを提供してくれる人が良い先生です。

そして、そのために必要な資質は、次の2点です。

(1)日本語教授力
次のようなものが含まれます。
日本語指導経験、コース設計力、教材選定力、レベル判定力、フィードバックスキル、創造力、向上心、

(2)コミュニケーション力
次のようなものが含まれます。
論理的説明力、コーチングスキル、異文化理解力、フェアネス、ビジネスマナー、クイック・レスポンス、ポジティブさ、

しかし、これら全ての観点で比較してベストな先生を見つけていく方法は現実的ではないでしょう。そこで、まずは数名の先生から習ってみて、その中で一番良いと思った人と受けてみるのが現実的な方法になると思います。

これは、日本語教師の間でも意見が分かれる質問です。
あなたが留学生であれば、大学入学のために必須かも知れませんが、あなたがビジネスパーソンであれば、必須ではないでしょう。でも、JLPTのための勉強は役立つこともあります。そこで、この記事では、JLPTの特徴を整理しましたので、そのうえで受ける価値があるかどうかをご判断下さい。

特徴(1):リスニングとリーディングの試験
ライティングとスピーキングは無い。つまり、実際にその人が日本語を使ってどれだけコミュニケーションが出来るかが分からない。
JLPT の最上位級であるN1を合格していても、会話があまり出来ない人もいます。

特徴(2):日本語能力を測定するテストの中では一番有名
上記の通り、実際の運用力は測れないものの、受験者数が一番多く有名なので、採用要件でJLPTを指標にしている企業が多いです。

特徴(3):対策しやすく、自習でも勉強しやすい。
上記(1)の通り、リスニングとリーディングだけのインプット型のテストのため、伸ばすべきスキルが明確で、対策が取りやすいと言えます。また、上記(2)の通り、一番受験者数が多いため、JLPT対策用の教材が数多くあります。このため、自習だけでも一定のレベルまでは充分到達が可能です。
例えば、自習でJLPT 対策をすることで、基本的な語彙や文法のレベルアップをして、一定のレベルに到達してからレッスンを受けるようにすれば、日本語学習に投下するトータルコストを抑えることも可能です。

特徴(4) 日本の出入国管理上の優遇措置を受うけるためのポイントがつく。
「高度人材に対するポイント制による出入国管理上の優遇制度」で、日本語能力試験N1の合格者は15ポイント、N2の合格者は10ポイントがつきます。ポイントの合計が70点以上の場合に、出入国管理上の優遇措置が与られます。
なお、BJTの場合は480点以上で15ポイント、400点以上で10ポイントがつきます。
詳細は法務省入国管理局ホームページ でご確認下さい。
https://www.moj.go.jp/isa/other_languages.html

以上の4点を踏まえ、総合的なメリットがあると感じたらトライしてみてはいかがでしょうか?
なお、合格のためには相当な学習時間が必要ですから、それだけの時間を現実的に投下できるかどうかも考えましょう。

JLPTの合格に必要な学習時間はこちらの記事をご参照下さい。

一番有名なのはJLPT(日本語能力試験)ですが、J-TEST、BJT等も受けている人が多いです。そこでここでは、この3つのテストについて、「名称」「公式サイトURL」「測定する内容」「レベルの分け方」「受験費用」「特徴」をまとめてみました。
日本語のテストの比較

詳細や最新情報は公式サイトでご確認下さい。
JLPT(日本語能力試験) http://www.jlpt.jp/
J-TEST(実用日本語検定) http://j-test.jp/
BJTビジネス日本語能力テスト http://www.kanken.or.jp/bjt/

「JLPTは(試験は)受けた方が良いですか?」の記事もご参照下さい。

はい、いくつかあります。
その前にモチベーションの特徴について理解することをお勧めします。

・モチベーションは一定ではなく、必ず変化する。
・困難にぶつかると、モチベーションは上がるより下がることが多い。

これらを踏まえた私からのアドバイスは、モチベーションを維持する方法を考えるよりも、モチベーションが下がっても日本語学習を続けられる方法を考えることです。

具体的には以下のような方法がオススメです。

(1)日本語学習を習慣化する。
歯磨きをするときに、やる気を上げる必要はないでしょう。これは、歯磨きがあなたの日常行為になっているからです。短い時間でも良いので、毎日勉強することを習慣にしましょう。

(2)目標を周囲の人に宣言する。
人間は、他の人に見られていると感じると、サボりにくくなりますので、目標を家族や友人に宣言してみましょう。SNSで宣言すると、同じような目標を持った仲間が出来るかも知れません。なお、そのためにも、学習計画はAchievableなものにすることが重要です。
(学習計画の作り方については、こちらの記事を参照下さい。)

(3)常にポジティブに考える。
勉強を続けていると、途中で辞めたくなる時が来るかもしれません。例えば、一生懸命勉強していても、成績が伸び悩むことがあります。そんな時は、「自分は効率的な勉強をしているから、必ず成長出来る」と信じて、コツコツと続けましょう。

これらの方法は、日本語学習以外にも使えるので、あなたの他のチャレンジのも役にも立てたら嬉しいです。なお、私はこれまでに上記の方法を活用して、ダイエットやTOEICに成功しました。そして今はフルマラソンを4時間以内に完走することを目標として宣言しています!

計画作りのポイントは「SMART」です。「SMART」はコーチングに由来し、次の5つの頭文字をつなげたものです。

(1) S:Specific(具体的である)
具体的で明確な目標であればあるほど、人は鮮明にその計画を達成するプロセスを想像出来るようになります。

(2) M:Measurable(測定可能である)
数値目標を設けると、目標が達成されたかどうかがわかります。逆に、達成できたのか出来なかったのかの判断ができない目標を掲げた場合、次の目標を考える時にPDCAが出来ません。

(3) A:Achievable(達成可能である)
難易度が高過ぎる計画は作らないようにしましょう。現在のレベルと目標とするレベルの差を考え、現実的なプランにしましょう。

(4) R:Relevant(関連している)
目標は長期目標、中期目標、短期目標をそれぞれ作り、その3つを連動させましょう。

(5) T:Time-bound(期日がある)
「いつか、そのうちに」と曖昧にするのはやめ、明確な期限を決めましょう。期限を定めることによって、計画の具体性や現実感が出てきます。

これら5つのポイントを踏まえて、自分にあった長期目標、中期目標、短期目標を設定しましょう。

次のような例を参考にして下さい。

例1:
長期目標:20XX年12月に、JLPT N1に合格する。
中期目標:その1年前にJLPT N2に合格し、2年前にN3 に合格する。
短期目標:漢字を~までに500字、~までに1000字、~までに1500字覚える。語彙を~までに500個、~までに1000個、~までに1500個覚える。
毎日1時間は勉強する。

例2:
長期目標:20XX年XX月のカンファレンスまでに、日本語で5分間のスピーチが出来るようになる。
中期目標:20XX年XX月までに、簡単な会話が出来るようになり、XX月までに日常会話には困らないレベルになる。
短期目標:~の教科書を~までに終わらせ、次の教科書を~までに終わらせる。
毎週、2レッスン受けて自習は4時間する。

(3)A:Achievable(達成可能である)
この項目については、出来るだけ、日本語教師や日本語学習経験がある人にチェックしてもらうことをお勧めします。


もし、少しでも成功の可能性を高めたいのであれば、学習計画を作ることをお勧めします。

よく語学の習得は、「航海」「登山」「マラソン」などに例えられますが、どれも明確なゴール(目標)があり、そこに辿り着くためのプラン(計画)を持って臨みますね。語学の習得は、それらより長期戦ですから、私は作った方が良いと考えます。

学習計画を作る具体的なメリットは、下記のようなスパイラルに入れる可能性がUPする点です。

・適切な学習計画を作れば勉強を続けやすくなる。
・勉強を続けられれば成長しやすくなる。
・成長すれば勉強が楽しくなる。
・楽しくなれば勉強を続けやすくなる。

しかし、なかには計画を作ったり、一歩一歩と勉強を進めるのが苦手な方もいると思います。学習者には、登山家タイプとサーファータイプがいます。一歩一歩と計画に沿って進めるのが得意な人が登山家タイプで、楽しみながら勉強したい人がサーファータイプ(*)です。

サーファータイプの人にとっては、計画に沿って一歩一歩勉強するより、日本の映画やドラマを見たり、日本人と話したりする方が楽しいです。そして、楽しくないとモチベーションが沸かず、勉強を続けなくなる可能性が高まります。勉強は続けなければ意味がありませんので、自分が勉強を続けやすい学習方法を選ぶことも大切です。

*便宜的にこのようにたとえることをお許し下さい。なお、私は趣味でサーフィンをしますが、学習法はクライマータイプですので、この例えが一部の人にとって相応しくないことを理解しています。

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