これは、日本語教師の間でも意見が分かれる質問です。
あなたが留学生であれば、大学入学のために必須かも知れませんが、あなたがビジネスパーソンであれば、必須ではないでしょう。でも、JLPTのための勉強は役立つこともあります。そこで、この記事では、JLPTの特徴を整理しましたので、そのうえで受ける価値があるかどうかをご判断下さい。

特徴(1):リスニングとリーディングの試験
ライティングとスピーキングは無い。つまり、実際にその人が日本語を使ってどれだけコミュニケーションが出来るかが分からない。
JLPT の最上位級であるN1を合格していても、会話があまり出来ない人もいます。

特徴(2):日本語能力を測定するテストの中では一番有名
上記の通り、実際の運用力は測れないものの、受験者数が一番多く有名なので、採用要件でJLPTを指標にしている企業が多いです。

特徴(3):対策しやすく、自習でも勉強しやすい。
上記(1)の通り、リスニングとリーディングだけのインプット型のテストのため、伸ばすべきスキルが明確で、対策が取りやすいと言えます。また、上記(2)の通り、一番受験者数が多いため、JLPT対策用の教材が数多くあります。このため、自習だけでも一定のレベルまでは充分到達が可能です。
例えば、自習でJLPT 対策をすることで、基本的な語彙や文法のレベルアップをして、一定のレベルに到達してからレッスンを受けるようにすれば、日本語学習に投下するトータルコストを抑えることも可能です。

特徴(4) 日本の出入国管理上の優遇措置を受うけるためのポイントがつく。
「高度人材に対するポイント制による出入国管理上の優遇制度」で、日本語能力試験N1の合格者は15ポイント、N2の合格者は10ポイントがつきます。ポイントの合計が70点以上の場合に、出入国管理上の優遇措置が与られます。
なお、BJTの場合は480点以上で15ポイント、400点以上で10ポイントがつきます。
詳細は法務省入国管理局ホームページ でご確認下さい。
https://www.moj.go.jp/isa/other_languages.html

以上の4点を踏まえ、総合的なメリットがあると感じたらトライしてみてはいかがでしょうか?
なお、合格のためには相当な学習時間が必要ですから、それだけの時間を現実的に投下できるかどうかも考えましょう。

JLPTの合格に必要な学習時間はこちらの記事をご参照下さい。

一番有名なのはJLPT(日本語能力試験)ですが、J-TEST、BJT等も受けている人が多いです。そこでここでは、この3つのテストについて、「名称」「公式サイトURL」「測定する内容」「レベルの分け方」「受験費用」「特徴」をまとめてみました。
日本語のテストの比較

詳細や最新情報は公式サイトでご確認下さい。
JLPT(日本語能力試験) http://www.jlpt.jp/
J-TEST(実用日本語検定) http://j-test.jp/
BJTビジネス日本語能力テスト http://www.kanken.or.jp/bjt/

「JLPTは(試験は)受けた方が良いですか?」の記事もご参照下さい。

はい、いくつかあります。
その前にモチベーションの特徴について理解することをお勧めします。

・モチベーションは一定ではなく、必ず変化する。
・困難にぶつかると、モチベーションは上がるより下がることが多い。

これらを踏まえた私からのアドバイスは、モチベーションを維持する方法を考えるよりも、モチベーションが下がっても日本語学習を続けられる方法を考えることです。

具体的には以下のような方法がオススメです。

(1)日本語学習を習慣化する。
歯磨きをするときに、やる気を上げる必要はないでしょう。これは、歯磨きがあなたの日常行為になっているからです。短い時間でも良いので、毎日勉強することを習慣にしましょう。

(2)目標を周囲の人に宣言する。
人間は、他の人に見られていると感じると、サボりにくくなりますので、目標を家族や友人に宣言してみましょう。SNSで宣言すると、同じような目標を持った仲間が出来るかも知れません。なお、そのためにも、学習計画はAchievableなものにすることが重要です。
(学習計画の作り方については、こちらの記事を参照下さい。)

(3)常にポジティブに考える。
勉強を続けていると、途中で辞めたくなる時が来るかもしれません。例えば、一生懸命勉強していても、成績が伸び悩むことがあります。そんな時は、「自分は効率的な勉強をしているから、必ず成長出来る」と信じて、コツコツと続けましょう。

これらの方法は、日本語学習以外にも使えるので、あなたの他のチャレンジのも役にも立てたら嬉しいです。なお、私はこれまでに上記の方法を活用して、ダイエットやTOEICに成功しました。そして今はフルマラソンを4時間以内に完走することを目標として宣言しています!

計画作りのポイントは「SMART」です。「SMART」はコーチングに由来し、次の5つの頭文字をつなげたものです。

(1) S:Specific(具体的である)
具体的で明確な目標であればあるほど、人は鮮明にその計画を達成するプロセスを想像出来るようになります。

(2) M:Measurable(測定可能である)
数値目標を設けると、目標が達成されたかどうかがわかります。逆に、達成できたのか出来なかったのかの判断ができない目標を掲げた場合、次の目標を考える時にPDCAが出来ません。

(3) A:Achievable(達成可能である)
難易度が高過ぎる計画は作らないようにしましょう。現在のレベルと目標とするレベルの差を考え、現実的なプランにしましょう。

(4) R:Relevant(関連している)
目標は長期目標、中期目標、短期目標をそれぞれ作り、その3つを連動させましょう。

(5) T:Time-bound(期日がある)
「いつか、そのうちに」と曖昧にするのはやめ、明確な期限を決めましょう。期限を定めることによって、計画の具体性や現実感が出てきます。

これら5つのポイントを踏まえて、自分にあった長期目標、中期目標、短期目標を設定しましょう。

次のような例を参考にして下さい。

例1:
長期目標:20XX年12月に、JLPT N1に合格する。
中期目標:その1年前にJLPT N2に合格し、2年前にN3 に合格する。
短期目標:漢字を~までに500字、~までに1000字、~までに1500字覚える。語彙を~までに500個、~までに1000個、~までに1500個覚える。
毎日1時間は勉強する。

例2:
長期目標:20XX年XX月のカンファレンスまでに、日本語で5分間のスピーチが出来るようになる。
中期目標:20XX年XX月までに、簡単な会話が出来るようになり、XX月までに日常会話には困らないレベルになる。
短期目標:~の教科書を~までに終わらせ、次の教科書を~までに終わらせる。
毎週、2レッスン受けて自習は4時間する。

(3)A:Achievable(達成可能である)
この項目については、出来るだけ、日本語教師や日本語学習経験がある人にチェックしてもらうことをお勧めします。


もし、少しでも成功の可能性を高めたいのであれば、学習計画を作ることをお勧めします。

よく語学の習得は、「航海」「登山」「マラソン」などに例えられますが、どれも明確なゴール(目標)があり、そこに辿り着くためのプラン(計画)を持って臨みますね。語学の習得は、それらより長期戦ですから、私は作った方が良いと考えます。

学習計画を作る具体的なメリットは、下記のようなスパイラルに入れる可能性がUPする点です。

・適切な学習計画を作れば勉強を続けやすくなる。
・勉強を続けられれば成長しやすくなる。
・成長すれば勉強が楽しくなる。
・楽しくなれば勉強を続けやすくなる。

しかし、なかには計画を作ったり、一歩一歩と勉強を進めるのが苦手な方もいると思います。学習者には、登山家タイプとサーファータイプがいます。一歩一歩と計画に沿って進めるのが得意な人が登山家タイプで、楽しみながら勉強したい人がサーファータイプ(*)です。

サーファータイプの人にとっては、計画に沿って一歩一歩勉強するより、日本の映画やドラマを見たり、日本人と話したりする方が楽しいです。そして、楽しくないとモチベーションが沸かず、勉強を続けなくなる可能性が高まります。勉強は続けなければ意味がありませんので、自分が勉強を続けやすい学習方法を選ぶことも大切です。

*便宜的にこのようにたとえることをお許し下さい。なお、私は趣味でサーフィンをしますが、学習法はクライマータイプですので、この例えが一部の人にとって相応しくないことを理解しています。


まず、会話上手に必要な点を具体的に考えてみましょう。
(1)相手が話す日本語を正確に理解する。
(2)適切な日本語で受け答えをする。
(3)会話を発展させる。
(4)「また、あなたと話したい」と思って貰う。

(1)(2)は主に日本語スキルで、(3)(4)は主にコミュニケーションスキルです。つまり、会話上手になるということは、総合的な日本語スキルとコミュニケーションスキルの両方が必要であり、難易度が高いミッションであることが分かります。

次に、それぞれの対策を考えてみましょう。
(1)(2)のためには、「リスニング力を強化する」「使える文型を増やす」「発音を強化する」などが挙げられます。皆さんもすでに色々な勉強方法にトライしていると思いますが、成果が出るまでには時間が必要です。そこで、比較的早く成果が出やすい(3)(4)のコツをお伝えします。

あなたが、「日本の食事は好きですか?」と田中さんから聞かれた場面を想像してください。そして、次の4人の返事を見て下さい。

Aさん:はい、好きです。
Bさん:はい、好きです。お寿司が好きです。
Cさん:はい、好きです。お寿司が好きです。いつか、マグロを釣ってみたいです。
Dさん:はい、好きです。お寿司が好きです。いつか、マグロを釣ってみたいです。日本のどこに行けばマグロを釣れますか?

A<B<C<Dの順番で会話が発展しているのが分かりますね。会話を発展させるためには、「話題を掘り下げる」「話題を広げる」「相手に質問する」などが有効です。

上の例のDさんの場合、もし田中さんが釣りに興味があれば、釣りの話題で話が盛り上がるでしょう。(これが「話題を掘り下げる」例です) もし田中さんが釣りに興味が無ければ、田中さんの趣味や休日の過ごし方を聞くのも良いでしょう。(これが「話題を広げる」例です。)

そして、出来るだけ、明るく、楽しく、前向きな話をしたり、役に立つ有益な情報を相手に提供するように努めると、「また、あなたと話したい」と思って貰える確率は上がるでしょう。

皆さんの母語でも、話していて楽しい人と楽しくない人がいると思います。そして、話していて楽しい人には、きっと、このような特徴があると思います。

日本語スキルとコミュニケーションスキルの両方を高める、これが私からのアドバイスです。


まず、日本語学習における直接法と間接法の違いを説明します。
直説法とは、日本語だけで説明を受けること。
間接法とは、学習者が理解できる媒介語(多くの場合、学習者の母語)を使って説明を受けること。

仮にあなたの母語が英語の場合、英語で説明して貰うのが良いか、日本語で説明して貰うのが良いか悩むと思います。結論から言えば、あなたの好み次第ですが、それぞれのメリットとデメリットを理解して決めましょう。

直説法-メリット
-分からない言葉があっても、知っている言葉をもとに類推しながら考える習慣がつく。
-実際の日本語の会話に近い状態でレッスンを受けられる。

直説法-デメリット
-誤解して理解してしまうことがある。
-理解するまでに時間が掛かることがある。

間接法-メリット
-説明を正確に理解しやすい。
-短い時間で理解できる。

間接法-デメリット
-いつまでも母語で考えてしまう癖がつき易い。
-知っている日本語をもとに類推する習慣がつき難い。
-実際の日本語の会話の時に分からないことが多い。

初級者は日本語で説明を聞いても分からないことが多いので、間接法の方がストレスが少ないしょう。しかし、実際の会話で聞くのは日本語だけですから、最初から直説法で勉強していた方が本番に強くなれるというメリットもあります。つまり、日本語だけで会話することを「ストレス」と考えるか「良いトレーニング」と考えるかの違いなのです。

出来るだけ早く日本語に慣れたいけど、レッスンの時間は効率的に使いたいという人には、次の方法をお勧めします。
・まず、先生に「私が頼むまで媒介語を絶対に使わないで下さい」と予め伝え、基本的に使うのは日本語だけにします。
・でも、どうしても分からない時だけは、先生にお願いして媒介語を使ってもらいます。
ただし、「1レッスンで媒介語を使える回数は3回まで」と先生と約束します。
(回数は5回でも10回でも構いませんが、出来るだけ少ない方が良いでしょう。)
・そして、どんなに困っても、約束した回数以上は媒介語を使わないようにします。

このようにルールを決めると、分からない時でも出来るだけ自分で考える癖がつきますし、ゲームのように楽しめるのでお勧めです。

日本で仕事をする人、生活をする人、中級以上を目指す人であれば答えはYesです。
目標とする漢字数はあなたの学習目的によって異なります。例えば、日本で日常生活を快適に過ごせるようにしたいなら目標は約1000字です。
新聞、本、雑誌、漫画などを理解したい人は、次のテーブルを参考にして下さい。
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習得漢字数 : 理解できる割合 (補足情報)
—————————–
(1)100字:約30%(一部の平易な漢字だけが読めるレベル。文章全体の意味をつかむのは困難。)
(2)300字:約50%(漢字に慣れ始め、難しい漢字の意味も推測できるようになる)
(3)500字:約70%(漫画に出てくる漢字はだいたいすべて分かる)
(4)1000字:約90%(日常生活で目にする漢字はだいたい分かる)
(5)2000字:約95%(一般的な日本人社会人と同等の知識。日本語だけの環境でも不自由なく生活出来ます。)

もしJLPTを受けるなら、通常は以下の漢字数、学習時間が必要になります。
—————————–
級:習得漢字数(合格に必要な学習時間の目安)
—————————–
N5 : 100字(150時間)
N4 : 300字(300時間)
N3 : 600字(450時間)
N2 : 1000字(600時間)
N1 : 2000字(900時間)

特別な理由がないのであれば、早い段階からひらがなやカタカナを覚えておくことをおすすめします。

タッチタイピングを習得すると、その後のパソコン作業の効率が一気に上がることをご存知の方も多いのではないでしょうか。ひらがな・カタカナの学習も同じ効果があります。最初は少し時間がかかりますが、その後の学習効率アップを考えると、早い段階で習得しておいた方がよいでしょう。


「可能性は有る」か「可能性は無い」の2択であれば、「可能性は有る」でしょう。実際に独学だけでマスターした人もいるそうです。しかし、以下のような理由から、多くの人にとっては、学習効果が悪く、挫折リスクが高いと言えるでしょう。
-フィードバックが無いため、誤用に気付かない。
-最適な学習方法や学習計画を選べない。
-モチベーションの維持が難しい。

おそらく、独学を希望する主な理由はコストだと思います。もしコストを少しでも安く済ませたいならば、自分で出来ることは出来る限り自分でやり、教師から習った方が良いことだけはレッスンで学ぶ、という学習方法がオススメです。

自分で出来ることは、語彙や基本文系の習得、リスニング練習、読解練習等で、主にインプット型練習です。
一方、講師と練習した方が良いのは、発音練習、会話練習、記述練習等で、主にアウトプット型練習です。

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