まず、会話上手に必要な点を具体的に考えてみましょう。
(1)相手が話す日本語を正確に理解する。
(2)適切な日本語で受け答えをする。
(3)会話を発展させる。
(4)「また、あなたと話したい」と思って貰う。

(1)(2)は主に日本語スキルで、(3)(4)は主にコミュニケーションスキルです。つまり、会話上手になるということは、総合的な日本語スキルとコミュニケーションスキルの両方が必要であり、難易度が高いミッションであることが分かります。

次に、それぞれの対策を考えてみましょう。
(1)(2)のためには、「リスニング力を強化する」「使える文型を増やす」「発音を強化する」などが挙げられます。皆さんもすでに色々な勉強方法にトライしていると思いますが、成果が出るまでには時間が必要です。そこで、比較的早く成果が出やすい(3)(4)のコツをお伝えします。

あなたが、「日本の食事は好きですか?」と田中さんから聞かれた場面を想像してください。そして、次の4人の返事を見て下さい。

Aさん:はい、好きです。
Bさん:はい、好きです。お寿司が好きです。
Cさん:はい、好きです。お寿司が好きです。いつか、マグロを釣ってみたいです。
Dさん:はい、好きです。お寿司が好きです。いつか、マグロを釣ってみたいです。日本のどこに行けばマグロを釣れますか?

A<B<C<Dの順番で会話が発展しているのが分かりますね。会話を発展させるためには、「話題を掘り下げる」「話題を広げる」「相手に質問する」などが有効です。

上の例のDさんの場合、もし田中さんが釣りに興味があれば、釣りの話題で話が盛り上がるでしょう。(これが「話題を掘り下げる」例です) もし田中さんが釣りに興味が無ければ、田中さんの趣味や休日の過ごし方を聞くのも良いでしょう。(これが「話題を広げる」例です。)

そして、出来るだけ、明るく、楽しく、前向きな話をしたり、役に立つ有益な情報を相手に提供するように努めると、「また、あなたと話したい」と思って貰える確率は上がるでしょう。

皆さんの母語でも、話していて楽しい人と楽しくない人がいると思います。そして、話していて楽しい人には、きっと、このような特徴があると思います。

日本語スキルとコミュニケーションスキルの両方を高める、これが私からのアドバイスです。


まず、日本語学習における直接法と間接法の違いを説明します。
直説法とは、日本語だけで説明を受けること。
間接法とは、学習者が理解できる媒介語(多くの場合、学習者の母語)を使って説明を受けること。

仮にあなたの母語が英語の場合、英語で説明して貰うのが良いか、日本語で説明して貰うのが良いか悩むと思います。結論から言えば、あなたの好み次第ですが、それぞれのメリットとデメリットを理解して決めましょう。

直説法-メリット
-分からない言葉があっても、知っている言葉をもとに類推しながら考える習慣がつく。
-実際の日本語の会話に近い状態でレッスンを受けられる。

直説法-デメリット
-誤解して理解してしまうことがある。
-理解するまでに時間が掛かることがある。

間接法-メリット
-説明を正確に理解しやすい。
-短い時間で理解できる。

間接法-デメリット
-いつまでも母語で考えてしまう癖がつき易い。
-知っている日本語をもとに類推する習慣がつき難い。
-実際の日本語の会話の時に分からないことが多い。

初級者は日本語で説明を聞いても分からないことが多いので、間接法の方がストレスが少ないしょう。しかし、実際の会話で聞くのは日本語だけですから、最初から直説法で勉強していた方が本番に強くなれるというメリットもあります。つまり、日本語だけで会話することを「ストレス」と考えるか「良いトレーニング」と考えるかの違いなのです。

出来るだけ早く日本語に慣れたいけど、レッスンの時間は効率的に使いたいという人には、次の方法をお勧めします。
・まず、先生に「私が頼むまで媒介語を絶対に使わないで下さい」と予め伝え、基本的に使うのは日本語だけにします。
・でも、どうしても分からない時だけは、先生にお願いして媒介語を使ってもらいます。
ただし、「1レッスンで媒介語を使える回数は3回まで」と先生と約束します。
(回数は5回でも10回でも構いませんが、出来るだけ少ない方が良いでしょう。)
・そして、どんなに困っても、約束した回数以上は媒介語を使わないようにします。

このようにルールを決めると、分からない時でも出来るだけ自分で考える癖がつきますし、ゲームのように楽しめるのでお勧めです。

日本で仕事をする人、生活をする人、中級以上を目指す人であれば答えはYesです。
目標とする漢字数はあなたの学習目的によって異なります。例えば、日本で日常生活を快適に過ごせるようにしたいなら目標は約1000字です。
新聞、本、雑誌、漫画などを理解したい人は、次のテーブルを参考にして下さい。
—————————–
習得漢字数 : 理解できる割合 (補足情報)
—————————–
(1)100字:約30%(一部の平易な漢字だけが読めるレベル。文章全体の意味をつかむのは困難。)
(2)300字:約50%(漢字に慣れ始め、難しい漢字の意味も推測できるようになる)
(3)500字:約70%(漫画に出てくる漢字はだいたいすべて分かる)
(4)1000字:約90%(日常生活で目にする漢字はだいたい分かる)
(5)2000字:約95%(一般的な日本人社会人と同等の知識。日本語だけの環境でも不自由なく生活出来ます。)

もしJLPTを受けるなら、通常は以下の漢字数、学習時間が必要になります。
—————————–
級:習得漢字数(合格に必要な学習時間の目安)
—————————–
N5 : 100字(150時間)
N4 : 300字(300時間)
N3 : 600字(450時間)
N2 : 1000字(600時間)
N1 : 2000字(900時間)

特別な理由がないのであれば、早い段階からひらがなやカタカナを覚えておくことをおすすめします。

タッチタイピングを習得すると、その後のパソコン作業の効率が一気に上がることをご存知の方も多いのではないでしょうか。ひらがな・カタカナの学習も同じ効果があります。最初は少し時間がかかりますが、その後の学習効率アップを考えると、早い段階で習得しておいた方がよいでしょう。


「可能性は有る」か「可能性は無い」の2択であれば、「可能性は有る」でしょう。実際に独学だけでマスターした人もいるそうです。しかし、以下のような理由から、多くの人にとっては、学習効果が悪く、挫折リスクが高いと言えるでしょう。
-フィードバックが無いため、誤用に気付かない。
-最適な学習方法や学習計画を選べない。
-モチベーションの維持が難しい。

おそらく、独学を希望する主な理由はコストだと思います。もしコストを少しでも安く済ませたいならば、自分で出来ることは出来る限り自分でやり、教師から習った方が良いことだけはレッスンで学ぶ、という学習方法がオススメです。

自分で出来ることは、語彙や基本文系の習得、リスニング練習、読解練習等で、主にインプット型練習です。
一方、講師と練習した方が良いのは、発音練習、会話練習、記述練習等で、主にアウトプット型練習です。


学習効果の観点ではどちらも変わりません。
オンラインのメリットは下記のように利便性とコストです。
-移動をしなくて済む。(その結果、時間を有効活用できる。授業単価がオフラインより比較的安い)
-世界中のレッスン・教師・学校から自分にあったサービスを受けられる。


その答えは、あなたが投下できる予算によって異なります。なぜなら、1クラスの学生数が少なければ少ないほど、学習効果が高い練習に多くの時間を使えますが、人数が少ないほど、レッスンの単価は高くなるからです。

どんな学習方法が効果的ですか?も参照下さい。

クラスレッスンでは、多くの生徒がいるので、単なる講義のようなものになり、カスタマイズはできません。
グループレッスンでは、数人の生徒がいるので、質問したり話したりする機会が増えるので、クラスレッスンより良いでしょう。
マンツーマンレッスンでは、講師があなたの目標、好み、状況、長所、短所を把握し、あなただけのためにカスタマイズすることができます。
ただ、費用面ではマンツーマンレッスンが一番高く、グループレッスンは中間で、クラスレッスンが一番安いですね。

レッスンの単価については別の記事を参照下さい。

その他に留意すべきことを挙げます。
-中級者や上級者向けのクラスレッスンは行っている学校は多くはない。
-クラスレッスンに参加する受講者の多くは若い学生で、ビジネスパーソンが他に一人もいない場合もある。
-グループレッスン、クラスレッスンはスケジュールが固定。マンツーマンは自分でスケジュールを選べる。
-クラスメイトがいるとモチベーションを維持しやすい。

効果的な学習方法について考えるときに、頻繁に引用されるのは、1960年代にNTL(National Training Laboratories Institute for Applied Behavioral Science)で開発されたラーニングピラミッドであり、学習方法別に記憶の定着率が異なることを示しています。

このラーニングラミッドは、「学習の円錐(Cone of learning)」と呼ばれることがあります。多くの学習者は教科書から読んだことの10%程度しか覚えていないが、人に教えることで学んだことの90%近くを覚えていられる、と言っています。

この資料は、様々な学習方法での定着率を示しています。

授業を聞くだけでは暗記できる量は少ないです。ですから、できるだけ体を使い、読む、見る、書く、議論、ロールプレイ、などを組み合わせてください。

また、ロールプレイよりもさらに効果的な勉強法があることに気付いた方も多いでしょう。それは、”教える “ことです。自分がよく知らないものを、他の人にあまり効果的に教えることはできません。つまり、相手に効果的に教えるためには、その対象をよく理解することが必要なのです。この原理を利用した勉強法を「教える→学ぶ」といいます。 ぜひ、自分が学んだことを他の人に(あるいは自分自身に)教えてみてください。この勉強法には様々なやり方があります。学んだことをまとめて自分だけのオリジナルテキストを作っても良いですし、勉強したことをSNSにアップするのも良いでしょう。

*なお、正確に言うと、このラーニングピラミッドについては、根拠が薄いという批判もあることを補足しておきます。ただし、言語教育に長年携わっている講師の多くは、学習方法別に効果が違うことを感じており、支持する声も多いです。また、アクティブラーニングは効果的と言われているので、ここでは、正確ではないリソースかも知れませんが、実際の経験から参考になると考え紹介しました。

一般的に、ビジネス日本語で使う語彙や表現は難しいものが多いです。
このため、中級レベル以上になってから始めるのがお勧めです。
しかし、もし今すぐにビジネス日本語を話す必要があれば、すぐに始めても良いでしょう。

中級レベルになると、ある程度日本語が分かるので、ラクをしようと思えばラクできます。ですが、ここから上級レベルに上がるためには、さらなる努力が必要です。具体的には、「正確さ」と「流暢さ」を高めていく努力が重要です。

順番に詳しく説明します。

(1)正確さを高める
間違った使い方を何度も繰り返している人がいます。専門用語で、これを「誤用の化石化」と言います。ある言語項目や規則が誤って習得され、それがそのまま残っている状態です。間違っていることを認識していないか、間違いを軽視していている可能性が高いですが、ネイティブから見ると気になる間違いかも知れません。ネイティブや日本語教師に指摘をして貰い、直して行きましょう。

(2)流暢さを高める
よりネイティブらしい言い方、使い方を習得する必要があります。そのために有効なのは、多読、シャドーウィング等です。ネイティブが読むもの、聞くもの、に出来るだけ多く接しましょう。

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